新生児が寝ない原因は?その理由とおうちでできる対策
新生児を迎えたばかりのママ・パパにとって、赤ちゃんがなかなか寝てくれないという悩みは、とても身近で深刻な問題です。夜中に何度も起きて泣き続ける赤ちゃんを前に、「どうして寝ないの?」「何か問題があるのかな?」と不安になることもあるでしょう。 しかし、新生児が寝ないのには、ちゃんとした理由があります。そして、その多くは赤ちゃんの自然な成長過程の一部であり、時間とともに改善されるものです。今回は、新生児が寝ない主な原因と、おうちでできる対策について詳しくご説明します。

新生児の睡眠の特徴を理解しよう
まず、新生児の睡眠について基本的なことを知っておきましょう。
新生児は大人とは全く違う睡眠パターンを持っています。生まれたばかりの赤ちゃんは、1日の大部分(10〜18時間程度)を眠って過ごしますが、一度に長時間眠ることはできません。通常、2〜4時間おきに目を覚まし、授乳やおむつ交換が必要になります。
これは、赤ちゃんの脳や神経システムがまだ未発達で、大人のような昼夜のリズムを理解できないためです。お腹の中にいた時は、ママの体のリズムに合わせて過ごしていましたが、外の世界では自分でリズムを作り上げる必要があります。このプロセスには時間がかかり、多くの赤ちゃんは生後数ヶ月をかけて徐々に睡眠パターンを確立していきます。

新生児が寝ない主な原因

生理的な需要が満たされていない
新生児が寝ない最も基本的な理由は、生理的な需要が満たされていないことです。
空腹 新生児の胃は非常に小さく消化も早いため、頻繁に授乳が必要です。母乳の場合は1〜3時間おき、ミルクの場合は3〜4時間おきが目安とされていますが、個人差があります。
母乳育児の場合、「本当に足りているのかな?」と心配になることも多いでしょう。
ミルクの場合も、月齢や体重に応じた適切な量を知ることが大切です。
おむつの不快感 濡れたり汚れたりしたおむつは、赤ちゃんにとって非常に不快なものです。新生児は1日に10〜12回程度おむつを替える必要があり、特に授乳後はうんちをすることが多いので、こまめにチェックしてみてください。
室温や服装の問題 新生児は体温調節機能が未熟なため、暑すぎたり寒すぎたりすると眠れません。寝る場所の快適さは、赤ちゃんの睡眠の質に直結します。そのため、時期や気候に応じて温度・湿度を調整する必要があります。
快適な室温の目安は以下の通りです。
夏:25~28℃
冬:20~25℃
湿度:40~60%
エアコンの風や日光が直接赤ちゃんに当たらないよう工夫することも重要です。ベビーベットや布団の位置を調整して対応してみてください。
環境的な要因
明るさや音の問題 新生児はまだ昼夜の区別がつきませんが、明るすぎる環境や騒音があると眠りにくくなることがあります。といっても完全に静かで暗い環境が必要というわけではなく、適度な明暗の差や、生活音程度なら問題ありません。
発達に関する要因
モロー反射 新生児によく見られる現象に「モロー反射」があります。これは、大きな音や急な動きに対して、赤ちゃんが両手を広げてビクッと反応する反射のことです。この反射が原因で、せっかく眠った赤ちゃんが自分で目を覚ましてしまうことがあります。
成長期の不快感 赤ちゃんは日々急速に成長しており、その過程で様々な不快感を感じることがあります。胃腸の発達に伴うガスの蓄積や、筋肉の発達に伴う違和感などが、睡眠を妨げることもあります。
病気や体調不良
多くの場合、赤ちゃんが寝ないのは自然な現象ですが、時には病気や体調不良が原因のこともあります。発熱、下痢、嘔吐、異常な泣き方、哺乳量の著しい減少などが見られる場合は、医師の診察を受けることを検討してみてください。
おうちでできる対策
基本的な生理的需要への対応
まずは、赤ちゃんの基本的な需要が満たされているかを確認してみてください。
- 授乳:泣いている時は、まず空腹を疑って授乳を試してみてください
- おむつチェック:濡れや汚れがないか確認し、必要に応じて交換します
- げっぷ:授乳後は必ずげっぷをさせ、胃にたまったガスを出してあげます
- 室温調整:赤ちゃんの手足や背中を触って、体温や汗の状態をチェックします
環境を整える
赤ちゃんが安心して眠れる環境作りも大切です。
照明について 昼間は自然光を取り入れ、明るい環境で過ごすことで、徐々に昼夜のリズムを教えてあげましょう。夜間は暖色系の間接照明や授乳ライトを使用し、明るすぎない環境を心がけます。真っ暗にする必要はありませんが、昼間との違いを作ることが大切です。
夜中の授乳やおむつ替えの際も、できるだけ暗めの照明を使用することで、赤ちゃんが「まだ夜の時間」ということを理解しやすくなります。フットライトや調光機能付きのライトがあると便利です。
音環境について 完全無音の環境は、逆に赤ちゃんにとって不自然で不安になることがあります。お腹の中では常にママの心音や血流音などが聞こえていたためです。適度な生活音(話し声、テレビの音、洗濯機の音など)は、赤ちゃんにとってむしろ安心できる場合もあります。
ただし、突然の大きな音(ドアの開閉音、電話の着信音など)は赤ちゃんを驚かせ、モロー反射を引き起こして覚醒させてしまうことがあります。これらの音はできるだけ小さくするか、赤ちゃんの睡眠時間を避けるよう工夫してみてください。
寝床の環境 赤ちゃんが安心して眠れる環境を整えることは非常に重要です。特に新生児の場合、寝具選びは安全性を最優先に考える必要があります。
まず、マットレスは硬めのものを選びましょう。柔らかすぎるマットレスは、赤ちゃんの顔が埋もれて呼吸を妨げる危険があります。大人用の柔らかいベッドではなく、赤ちゃん専用の硬めのマットレスを使用することが推奨されています。
シーツは肌触りが良く、吸湿性に優れた天然素材(綿100%など)がおすすめです。化学繊維は静電気が起きやすく、赤ちゃんの敏感な肌には刺激となることがあります。また、シーツはしっかりとマットレスに固定し、たるみがないようにすることが大切です。
掛け物については、厚い布団ではなく、軽くて通気性の良いスリーパーやベビー用の薄手のブランケットがおすすめです。赤ちゃんの胸の位置まで覆い、顔にかからないよう注意深く調整してみてください。
寝かしつけのテクニック
効果的な寝かしつけの方法を身につけることで、赤ちゃんも親も楽になります。
基本的な寝かしつけのポイントとしては:
- ゆっくりとしたリズムで体を揺らす
- 「シーッ」という音を出して安心させる
- 一定のリズムで背中を軽くたたく
- 子守唄を歌う
おくるみを活用する
新生児にとって、おくるみは非常に効果的なアイテムです。お腹の中にいた時のような安心感を与え、モロー反射による覚醒を防ぐ効果があります。
おくるみを使う際の基本ポイント:
- 腕はしっかりと固定し、足は適度に動かせる余裕を持たせる
- 締めすぎず、緩すぎない適度な強さで巻く
- 顔にかからないよう注意する
- 暑くなりすぎないよう、室温や赤ちゃんの体温をチェックする
時期別の特徴と対策
赤ちゃんの睡眠パターンは月齢とともに変化します。
生後0〜2週間 この時期は特に睡眠が不安定です。2〜3時間おきの授乳が必要で、昼夜の区別もありません。この時期は「赤ちゃんが起きているのが普通」と考え、あまり神経質にならず、赤ちゃんのリズムに合わせて過ごしてみてください。
生後2週間〜2ヶ月 少しずつまとめて眠る時間が増えてきますが、まだ個人差が大きい時期です。夜中の授乳は続きますが、日中は起きている時間が少しずつ長くなります。
生後2〜4ヶ月 昼夜の区別が少しずつついてきて、夜にまとまって眠る時間が増えてきます。ただし、成長期の睡眠退行や、新しい発達段階による変化で、一時的に睡眠が不安定になることもあります。
ただし、これはあくまで目安であり、赤ちゃんによっては時期が前後することも十分あります。また、病気や環境の変化、発達の節目などで一時的に睡眠が不安定になることもあります。
ママ・パパも自分を大切に
赤ちゃんの睡眠問題で最も大切なのは、実は親御さん自身のケアです。
睡眠不足の影響 新生児の育児による慢性的な睡眠不足は、身体的・精神的な健康に大きな影響を与えます。判断力の低下、イライラ、うつ症状などが現れることもあります。
休息の取り方
- 赤ちゃんが眠っている時は、家事より休息を優先する
- 家族や友人に協力を求める
- 産後ケアサービスなどの専門的なサポートを利用する
- パートナーと育児を分担する
完璧を求めすぎない 「良い親になりたい」という気持ちは素晴らしいものですが、完璧を求めすぎると疲れてしまいます。「今日も一日お疲れさま」と自分を労わり、小さな成功を大切にしてみてください。
赤ちゃんにとって最も大切なのは、親が心身ともに健康でいることです。自分自身のケアを怠らず、必要な時にはサポートを求めることも、立派な育児の一部です。
まとめ

新生児期の睡眠の悩みは、育児の中でも特に辛い問題の1つです。夜中に何度も起こされ、昼間も疲れが抜けない日々が続くと、「いつまで続くの?」と不安になるのも当然です。
しかし、赤ちゃんの睡眠の問題は、必ず改善される時が来ます。それぞれの赤ちゃんには個性があり、睡眠パターンの発達にも個人差がありますが、適切なサポートと時間があれば、必ず安定した睡眠リズムを身につけることができます。
また、困った時は一人で抱え込まず、家族、友人、医療従事者、産後ケアサービスなど、様々なサポートを活用することも大切です。完璧な親である必要はありません。人それぞれのペースで、赤ちゃんとの生活を楽しんでいけたらいいですね。
今はとても大変な時期かもしれませんが、この時期も赤ちゃんの大切な成長過程の一部です。無理をせず、日々の小さな変化を大切にしながら、成長を見守ってみてください。あなたと赤ちゃんのペースで、いつかすやすや眠る日が来ます。